SILS 早稲田大学国際教養学部合格体験記 都の西南さんの場合

<お名前>
都の西南

<プロフィール>
神奈川総合高校

<受験形態・合格年度>
一般入試(センターなし)・2009年度入試合格

<予想得点>
国語得点 = 7割
選択得点 = 世界史6割
英語得点 = 7割

<併願校>
ICU他

<SILSを受験するまでのいきさつ>

ICU以外行きたくないけどせっかく関東に住んでいるんだから人生の記念に早稲田受けとくか!あー国際教養ってICUにちょっと似てるんだなー。お母さーん!早稲田国際教養受けていいー?

<SILSへの期待>

国際教養学部は今年度から新しく建った校舎で授業するらしいのですが、試験会場がその校舎でした。新しいので当たり前ですがとてもきれいでした。早稲田は校舎の古さ汚さで嫌う受験生もいると聞きますが、あのきれいな校舎ならみな喜んで行くでしょう。私も会場に行って、ICUへの想いが少っしだけ揺らぎました。

-入試対策-

<現代文>

国際教養学部に向けての対策は特にしていませんが、現代文にはかなりの時間を注いで勉強しました。現代文は、日本語だし、なんかなんとなく解けるときがあるし、多くの受験生が手を抜きがちであると聞きます。しかし実際は、なんとなく解いていたら高得点が取れない科目であり、センター試験の平均点が例年ワースト2位の科目だそうです(ワースト1位は化学)。特に、早稲田の現代文はなんとなく解いている人をひっかけるように問題が作成されているので、しっかり学習していないと漢字以外全部間違うというようなケースも多いようです。

私も初めはなんとなく感覚的に解いていました。模試の結果にもムラがあり、ものすごく良いときもあれば悪いときもありました。感覚で解いていたので、私の感覚と問題の出題者の解釈がたまたま合ったときは点が伸びていただけだったわけです。
現代文は、問題文の筆者が述べていることを、筆者以外の人が問題にしています。だから受験生は�@「筆者の言いたいこと」と�A「出題者の意図」の二つを、感覚ではなく理性で判断しなくてはなりません。
そう気づいてからは、�@「問題文を読むとき」と�A「設問を解くとき」の両方で、なんとなくではなく、いちいち理詰めに考えるようにしました。
�@問題文を読むとき
「筆者は何を言いたいのか」ということだけを追いながら読む訓練をしました。
問題文を読んだら、筆者の「言いたいこと」の部分に線を引きます。線を引くというと、ところどころの強調部分に線を引きまくる人がいますが、そうではなくて、文全体の「言いたいこと」に線を引きます。経験的に、結論部分、つまり最終段落に書いてある場合が多いです。そうしていくうち、筆者の「言いたいこと」を常に探すくせがつきました。ただし、自分で勝手に線引きをしても、それが全然間違っていることもあるので、第三者に見てもらう必要があります。私は予備校の先生に見てもらっていました。
問題集や模試で勉強する場合は必ず解答に要約がついているものを選びました。要約には「言いたいこと」が書いてあるので、自分が線を引いたところが要約の結論となっているかを確かめることができました。
�A設問を解くとき
大半の問題は問題文を読むときに理性的に筆者の「言いたいこと」がつかめていれば正解できました。しかし早稲田の現代文は、出題の仕方がとてもよくできていてなかなか正解させてくれませんので、「なぜ出題者はこの問題を出したのか」、「出題者の意図は何か」、をいちいち考えて解かなくてはなりませんでした。これ以上長く書いてもちゃんと読んでくれる人がいるのか謎なのでやめます。そして、私としては駿台予備校の岡井先生の授業を受けることをおすすめします。

現代文は、「できる」と思い込んでいる人が多いですが、模試の結果にムラがある場合は「実際はできない」可能性が高いと思います。また、現代文は全ての科目に必要な論理的思考をつけることができる科目なので、おろそかにせず、かといって自分勝手にならずに勉強を進めるべきだと思います。
何度も言いまして、別に回し者ってわけじゃないですけど、駿台の岡井先生の授業はおすすめです。

<古文>

早稲田だからと言ってセンターと別にそんなに変わらないと思います。ちゃんと勉強したもん勝ちでしょう。

<世界史>

わけあって、私が世界史Bを勉強し始めたのは早稲田を受験する11ヶ月前でした。始めは、「こんなことを知らずに生きてきたなんて・・・!」という発見と驚きで、楽しかったのですが、通史が終わってからは膨大な量の覚えるべき用語が憎くてしようがなかったです。でも今は世界史をやってよかったと心底思います。特に、国際教養学部に行きたい人なら、確実に日本史より世界史をやっておくべきだと思います。日本史もすばらしい学問ですけど、世界史をやらなかった人はやった人に比べて大学入学後理解できないことが多いと思います。受験勉強うんぬんというより、受験が終わったあとの人生を、世界史は変えると思います。

<英語リーディング>
国際教養の過去問は一題も解かずに受験しましたので2009年のもの以外のことは知りませんが、この学部の英語は良問だと思いました。長文ではかなり難しい文章もところどころありましたが、そんな細かい部分よりは、ちゃんと内容把握ができているかを問う設問になっており、入学後に英語を日常的に使うことができる受験生を欲しがっていることがはっきりわかりました。それに問題文の内容が面白かったです。ただ、少なくとも1000字はある長文2題ずつに加え、短い英文を日本語で要約させたり英作文を書かせたりもするので、100分の解答時間では短いです。そういう意味では過去問で時間配分の仕方を一度考えておくべきでした。私は、本番は何とか間に合いましたが、二つ目の長文は要約と英作文後10分で解いたので半分とれたかも危ういです。しかしあの問題ならば周りの受験生も時間がなかったでしょうし、6割取れていれば合格できると思います。
まあとにかく正直なところ、私が受験したどの大学の英語よりはるかに難易度が高く、解き応えがあって楽しかったです。英語が得意、大好きな人は、受けてみるといいと思います。

<英語リスニング>

難しかったです。ICUのリスニングは受験生をなめている感がいなめませんが、国際教養のリスニングは受験生を買いかぶり過ぎています。私自身半分取れた自信がないです。
2問聞きますが、1問目は1人の司会者が3人(だったと思う)の女性に意見を聞くという形式の音声を聞き、それに関する問題に答えるものした。女性の社会進出に関する内容だったと思うなあ・・・。2問目は2人の会話のあと問題に答えるものです。農業?なんか新しい農業の方法?(というかんじで私は全然聞き取れていないんですけど。)みたいな内容だったと思います。1問目2問目いづれも問題の選択肢が音声で流れます。
それから録音してある声が素人っぽっかった気がします。教授たちなのかも?
あと会場がめちゃくちゃ広いのに前においたスピーカーで大音量で流すもんだからワンワン響いてました。

リスニングには自信があったのですが、てんでだめでした。後半のほうは聞き取るのをあきらめてやり残した2題目の長文をやってしまったくらいで・・・

<英語ライティング>

日本の英語教育の問題点に関する短い英文を日本語に要約する問題と、「権力への盲目的な服従は真実を見失わせる」(←もちろん英語で書かれている)という意見に賛成か否か理由も含めて8行くらいで英作文を書くもの(問題用紙を捨ててしまったので正確でないと思います)でした。
本番ならではの集中力で、脳が尋常でないくらい高速回転していたのでスラスラっと20分くらいで書いてしまった。今となってはよくあんだけ書けたな、と自分で自分をほめてあげたい。
長めの英作文の対策は特にしていませんでしたが、和文英訳のテキストの200個の短い英文と、500字程度の英語長文20題を丸暗記していたので、それらを駆使して書いた英語の正確さは保障できます。よく言われるように、入試での英作文は内容のインパクトなんかよりは文法ミスが無いか、正確に構文を使えているかを見られているので、変に奇をてらったことを書こうとせず、簡単な英語で正確に書くことが大事です。

<その他受験に関するアドバイス>
受験期の1年間、死に物狂いで勉強していたことは確かです。だから第一志望のICUに合格できたし、この学部も、その努力の結果勝手についてきたものだと思います。「早稲田に受かる裏技英語!」とか、「必殺!世界史30日で東大レベル」みたいなものに頼るより、朝から晩まで高校のテキストを音読し、丸暗記するような、そんな「勢い」みたいなものが、夢をつかむためには必要だと思います。
受験勉強というのは、スマートにやれるもんじゃないのです。合格するコツなんか無いんです。がむしゃらに、どろどろになりながら突き進むことが、時には大切です。がんばって!

<最後に一言>

辛かった自分の受験期を、そして今から受験を向かえる人たちを思うあまり、長く書いちゃいました。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。